腎細胞癌

腎がんに関して

1. 腎臓とは
腎臓は、尿を造る臓器です。身体のなかでいらなくなったもの、つまり老廃物を尿とともに体外へ排出します。その他に血圧の調節、体液量とイオンバランスの調節、強い骨をつくるなどの働きもあります。そら豆のような形をしており、重さ130g、長径11~2cmで、副腎と共に脂肪に包まれています。肋骨に上半分を守られるように、背中側に左右に1つずつあります。

2. 腎細胞がん(腎がん)とは
腎臓には尿細管という細い管があり、ここでは糸球体という細い血管でつくられた尿のもとから水分やさまざまな物質を吸収したり老廃物を排泄したりして尿をつくります。この尿細管の中に発生したがんを、一般に腎細胞がん(以下、腎がん)と呼びます。
肥満や高血圧といった生活習慣病や喫煙が腎がんのリスクとなると言われています。発生頻度は、人口10万人あたり2.5人程度です。年齢では40歳代から70歳代に多く発症しますが、近年では30歳以下の若年者の発症もしばしば見られます。男女比は2~3:1で男性に多い傾向があります。

(症状)
腫瘍が小さい場合、無症状であることがほとんどです。腫瘍が大きくなると、血尿、腹部のしこり、痛みが出現してきます。また全身症状として、体重減少、発熱、貧血をきたすことがあります。腎がんの4人に1人は肺やリンパ節や骨などに転移が発見されるといわれており、これらも進行すれば呼吸困難や痛みなどの症状が出現することがあります。

(診断)
近年では、健診での超音波検査やCTにより、偶然発見されるケースが増加しています。腎がんの検出に有用な、腫瘍マーカーは存在しないため、血液検査で発見することは困難です。腎には腎がん以外にも腫瘍性病変(良性腫瘍、腎盂腫瘍など)が発生することもあるため、より正確に診断するために造影剤を併用した腹部CT検査が有用です。また、病変の進展や転移を確認するために胸部CT 、MRI、骨シンチグラムを施行することもあります。

(治療:手術療法)
a)腎部分切除術
健診普及のため、サイズが小さいうちに発見されることも多くなりました。サイズが小
さければがんのみを摘出する腎部分切除術を行います。腎機能温存もでき、サイズが小
さいものに対して推奨されている手術です。当院ではロボット(da Vinci)手術で行い
ますが、腫瘍の位置などの問題で困難な際には開腹手術で行います。
b)腎摘除術
腎部分切除術が困難な際に施行します。基本腹腔鏡手術で行いますが、癒着が強い際、大血管浸潤で腹腔鏡手術が困難な際には開腹手術で行います。

(治療:薬物療法)
腎癌に対しては通常の抗がん剤は使用しません。
a)分子標的治療:
がんの増殖や血管の増殖に関わる因子を抑えることで、抗腫瘍効果を発揮するものです。内服薬での治療が中心で、導入の際には入院していただくこともありますが、多くの方は外来通院で治療を行っています。

b)がん免疫療法:
がんが免疫機構から逃れる機序に対し、それを阻害することで、リンパ球等ががんを攻撃するような治療となります。

患者さんによって、がんの悪性度や進行度が異なるため、これらの治療効果は一定していませんし、適している治療方法も異なる場合があります。また、治療経過によって、次々に治療薬を変更していくこともあるため、詳細な治療方針につきましては、個別に検討する必要があります。

(フォローアップ)
腎摘除術が行われた場合、20-30%で再発を経験します。転移部位は肺が最も多く、50-60%に見られます。フォローアップを行う主な目的は早期に再発・転移を発見することにあります。早期に再発・転移を発見することで再発巣や転移巣に対する切除術が可能となり、また切除術が困難な場合でも、薬物療法の効果を上げる可能性があります。フォローアップの中心は画像検査になります。晩期再発も多数報告されており、フォローアップは生涯行われることが望ましいとの考えもあります。