診療内容紹介
尿路性器(腎、尿管、膀胱、前立腺、陰茎、精巣)がんの診断から、ロボットを用いた低侵襲治療に加えて、様々な集学的治療を行っています。排尿障害や女性泌尿器疾患等の専門外来を開設し、尿失禁、骨盤臓器脱に対する様々な手術を行っています。さらに、前立腺肥大症、尿路結石に対して最新の治療装置で治療を行い、加えて、男性不妊症や小児泌尿器疾患に対する診療も行っています。また、腎移植機関でもあり、生体腎移植や献腎移植も行っています。
診療体制・治療方針
尿路性器がんだけでなく、排尿障害、女性泌尿器疾患、小児泌尿器疾患、男性不妊症、腎移植など、各分野におけるエキスパートにより、幅広い診療を行っています。泌尿器科疾患で治療が必要な患者はご高齢の方が多いため、できるだけ体に負担をかけない低侵襲治療を心掛けています。前立腺がん、腎がん、膀胱がんに対しては、腹腔鏡手術に加え、ダ・ヴィンチを用いたロボット支援手術を行い、がんの根治と機能温存の両方を目指した手術を行っています。また進行がんに対しても、個々の患者の状態に合わせて、化学療法、分子標的治療、免疫療法を組み合わせ、副作用が少なく効果の高い治療を行っています。さらに尿失禁、骨盤臓器脱に対しメッシュを用いた手術や腹腔鏡手術を行っており、ロボット支援手術も県内の他院に先駆け2022年4月より開始します。その他、前立腺肥大症、尿路結石、男性不妊症、小児泌尿器疾患、腎不全に対する治療に関しても、様々な新規技術を用いて、低侵襲治療を行っています。
得意とする分野
尿路性器がんに関しては、PET/3T-MRIなどの先端画像診断技術を用い、前立腺がんや腎がんの早期発見に貢献しています。2013年12月にロボット支援手術を福井県で初めて導入し、2022年3月現在570例の手術を行っています。前立腺がんに対する手術では、手術時間が短く出血量が少ないだけでなく、術後の尿失禁も軽度で、QOLも良好です。腎がんに対する手術では、従来の腹腔鏡では腎摘除をせざるを得なかった患者においても、腎部分切除による腎温存が可能となっています。また、膀胱がんに対する手術も低侵襲に行うことができ、術後の入院期間の短縮につながっています。また、各治療に抵抗性となったがん患者において、遺伝子パネル検査を用いて新たな治療薬の探索を行う、がんゲノム医療も導入しています。がん以外の疾患のうち、様々な排尿障害や女性泌尿器疾患に対する治療に力を入れており、北陸一の経験を有しています。神経因性膀胱や間質性膀胱炎に対しては、ボトックス治療や腸管利用膀胱拡大術も行っています。前立腺肥大症に対してはホルミウムレーザーを用いた手術を行っています。骨盤臓器脱や腹圧性尿失禁に対する腹腔鏡手術やメッシュを用いた手術も行っており、ロボット支援下手術も2022年4月より開始します。さらに、尿路結石に対して、経皮経尿道同時内視鏡手術を行うことで、大きな結石でも完全除去を目指します。男性不妊症の原因となる精索静脈瘤に対する顕微鏡下手術や、無精子症に対する精巣精子採取術も行っています。小児泌尿器疾患である停留精巣、尿道下裂、膀胱尿管逆流症、腎盂尿管移行部狭窄症などの先天性尿路奇形に対する手術も行っています。また、腎移植に際しても、ドナー手術を腹腔鏡で行うなど低侵襲治療を目指しています。
高度医療
- 通常の前立腺生検にて検出できないがんに対し、3T-MRIを用いた標的生検を行い検出率向上に努めています。
- 手術ロボット(ダ・ヴィンチ)を用いて、前立腺がんの神経温存前立腺全摘術、腎がんの腎部分切除術による腎機能温存、膀胱がんに対する膀胱全摘術を行っています。
- 標準治療に抵抗性となった尿路性器がんに対する遺伝子パネル検査を用いたがんゲノム医療を行っています。
- 骨盤臓器脱に対してメッシュを用いた手術(TVM)や腹腔鏡手術(LSC)を行っており良好な成績を収めています。さらにロボット支援手術(RSC)を導入し、できる限り低侵襲でより精度の高い治療効果を患者さんに提供します。
- 尿失禁に対してはメッシュを用いた手術(TOT、TVT)を行っています。
- 前立腺肥大症の手術にホルミウムレーザーを用いた内視鏡治療(HoLEP)を行っています。
- 大きな腎結石に対する経皮経尿道同時内視鏡手術(ECIRS)を行っています。
症状・対象疾患
- 排尿(尿が出にくい)症状・蓄尿(尿が我慢できない・漏れる)症状/前立腺肥大症やがん、尿失禁、神経因性膀胱・膀胱炎
- 血尿/尿路結石や尿路性器がん(腎・腎盂・尿管・膀胱・前立腺)
- 腹痛・腰痛/腎がん・尿路上皮がん、尿路結石、尿路感染症、後腹膜線維化症
- 排尿時痛/膀胱炎、尿道炎(性病)、前立腺炎
- 発熱/前立腺炎、精巣上体炎、腎盂腎炎
- 不妊症/乏精子症、無精子症、精索静脈瘤
- 女性の骨盤の違和感、下垂感/骨盤臓器脱(子宮脱、膀胱瘤、直腸瘤)
主な検査と説明
- 内視鏡検査/軟性膀胱鏡により疼痛を軽減して検査しています。細径の軟性内視鏡により尿管・腎盂・腎杯まで観察し、生検や結石破砕もできます。
- PET・MRI/がんの早期発見に貢献しています。
- レントゲン検査/CTや尿路造影によりがんや結石診断、骨盤臓器脱などの診断を行います。
- 尿流動態検査/膀胱・尿道・括約筋の機能検査を行い、排尿障害の治療方針を決定します。
- 前立腺生検/経直腸的に針を刺入し10カ所採取します。